「ドローンの国家資格って、結局いくらかかるんだろう?」
この疑問を持った時点で、あなたはドローン産業界への第一歩を踏み出しています。ただし、ネット上には「相場20〜100万円」というざっくりした情報が多く、自分のケースでいくらかかるのかが分かりにくい。
この記事では、「一等・二等」×「初学者・経験者」の4パターンに分けて費用の内訳を完全に分解します。さらに、多くの記事が触れていない「受講料以外のコスト」と「助成金を使って自己負担を半額以下にする方法」まで踏み込みます。
ドローン国家資格の費用、結論から言うと「20万〜100万円」。この幅が出る3つの理由
まず結論です。ドローン国家資格(無人航空機操縦者技能証明)の取得にかかる費用は、おおむね20万〜100万円。この価格幅が大きい理由は3つあります。
理由①:「一等」か「二等」かで2〜3倍の差がある
一等無人航空機操縦士は、有人地帯での目視外飛行(レベル4飛行)まで可能な上位資格です。講習時間が二等の約3倍あるため、受講料も比例して高くなります。
理由②:「初学者」か「経験者」かで講習時間が1/3以下に減る
JUIDAやDPA等の民間資格をすでに保有している方は「経験者」扱いとなり、必修講習時間が大幅に短縮されます。たとえば二等の場合、初学者が学科10時間+実技10時間以上のところ、経験者は学科4時間+実技2時間以上まで短縮されます。当然、受講料も下がります。
理由③:スクールごとに受講料が異なる
登録講習機関(ドローンスクール)は全国に約680校あり、受講料はスクールが独自に設定しています。同じ「二等初学者コース」でも、20万円台から40万円台まで開きがあります。
以下の表は、4パターン別の費用相場です。
【一覧表】パターン別の費用相場(受講料+試験料+交付手数料の合計)
| パターン | 受講料の相場 | 試験料等 | 合計の目安 |
|---|---|---|---|
| 二等・経験者 | 10万〜20万円 | 約1.7万円 | 約12万〜22万円 |
| 二等・初学者 | 20万〜35万円 | 約1.7万円 | 約22万〜37万円 |
| 一等・経験者 | 30万〜50万円 | 約2.0万円 | 約32万〜52万円 |
| 一等・初学者 | 60万〜100万円 | 約2.0万円 | 約62万〜102万円 |
※試験料等=学科試験手数料+身体検査手数料+交付手数料+登録免許税(一等のみ)。詳細は次章で分解。
※2026年2月時点の情報に基づきます。手数料は航空法関係手数料令で定められた非課税額。
この相場表を見て「高い」と感じた方。ここからが大事です。受講料だけで比較すると、実は損をするケースがあります。
費用の内訳を完全分解する。「受講料」だけ見ていると損をする理由
ドローン国家資格の取得費用は、大きく3つに分かれます。
①受講料(登録講習機関に支払う費用)
費用の大部分を占めるのがスクールの受講料です。この中には通常、学科講習料・実技講習料・修了審査料(1回分)が含まれています。
ただし、スクールによって「含まれるもの」が異なります。具体的に確認すべきポイントは以下の通りです。
テキスト代は込みか別途か。
多くのスクールは受講料に含めていますが、一部では別途1〜2万円を請求するケースがあります。
補講代はいくらか。
実技の習熟が不十分で追加講習が必要になった場合の追加費用です。「1時間あたり○万円」のスクールと「追加練習時間を最初からプランに含めている」スクールがあります。後者のほうが、結果的に安くなるケースが多い。
再審査代はいくらか。
修了審査に不合格だった場合、2回目以降の審査にかかる費用です。これもスクールごとに異なり、2〜5万円が相場です。修了審査の合格率はスクールの教育品質を映す鏡でもあるので、事前に確認する価値があります。
②試験料等(指定試験機関・国に支払う費用)
登録講習機関で修了審査に合格した後、指定試験機関(一般財団法人 日本海事協会)で学科試験と身体検査を受ける必要があります。
| 項目 | 一等 | 二等 |
|---|---|---|
| 学科試験手数料 | 9,900円 | 8,800円 |
| 身体検査手数料(書類) | 5,200円 | 5,200円 |
| 技能証明書交付手数料 | 3,000円 | 3,000円 |
| 登録免許税 | 3,000円 | なし |
| 小計 | 21,100円 | 17,000円 |
※身体検査は、普通自動車運転免許証の写し提出で「書類受検」が可能です。この場合5,200円。運転免許がない場合は会場受検(19,900円)になります。
※出典:無人航空機操縦士試験案内サイト(一般財団法人 日本海事協会)および国土交通省レベル4飛行ポータルサイト
③隠れコスト(見落としがちな費用)
受講料にも試験料にも含まれない、しかし確実にかかる費用があります。
交通費・宿泊費。
合宿型スクールの場合、宿泊費が1泊5,000〜10,000円×日数分かかります。通学型であっても自宅からスクールまでの往復交通費は自己負担です。たとえば東京から片道1時間圏内の通学型スクールであれば、宿泊費はゼロ。5日間通った場合の交通費も数千円程度に抑えられます。
DIPS2.0の事前登録。
技能証明申請者番号の取得は無料ですが、手続きに不慣れだと数日かかることがあります。時間もある意味、コストです。
資格取得「後」に必要になる費用。
これが最も見落とされている項目です。国家資格の講習では、航空法で定められた必修カリキュラムが中心になります。しかし、実際の業務現場ではそれだけでは不十分な場面があります。
たとえば、ノンテクニカルスキル(NTS)の訓練。国家資格の教則にもCRM(乗員資源管理)の概念は記載されていますが、CRMを真剣に扱うスクールは少数です。現場に出てから「チームでの運航判断」に不安を感じ、別途NTS研修を受けるケースが発生します。費用は3万〜10万円。
もうひとつが、応急手当の訓練。2022年の改正航空法で、ドローン事故時の負傷者救護が義務化されました。しかし、応急手当の実技訓練を講習カリキュラムに組み込んでいるスクールは極めて少ない。資格取得後に別途講習を受けると、こちらも数万円の追加出費になります。
つまり、受講料が安いスクールを選んでも、「資格取得後に別途かかる費用」を合算すると、最初から包括的なカリキュラムを持つスクールのほうが安くなることがある。ここが「受講料だけ見ていると損をする」と言う理由です。
「相場より安い」スクールに飛びつく前に確認すべき3つのこと
ドローンスクールの受講料は数十万円単位です。少しでも安いスクールを選びたい気持ちは当然あります。ただし、「安さ」の裏側にある事情も把握しておくべきです。
確認①:実技時間は必修時間ギリギリか、追加練習時間があるか
二等初学者の必修実技時間は10時間。これは「最低限この時間は講習しなさい」という国の基準であり、10時間で業務レベルの操縦技量が身につくかどうかは別の話です。
実技時間を必修ギリギリに設定しているスクールほど、受講料は安くなります。逆に、追加練習時間を設けているスクールは受講料が上がります。しかし、その追加時間は「修了審査の合格率」と「卒業後に現場で使える技量」に直結します。
判断基準はシンプルです。「修了審査に1回で受かる自信があるか?」という問いに対して、追加練習時間があるスクールのほうが、結果的に再審査代や補講代を払わずに済む可能性が高い。
確認②:講師は教育専業か、業務運航経験者か
講師が「インストラクター資格を持っている」だけなのか、実際に点検・測量・物流などの業務でドローンを飛ばしてきた経験者なのか。この違いは、講習の中で伝えられる情報の質に直結します。
業務運航を経験した講師は、ヒヤリハット事例や現場判断のコツを実体験として持っています。こうした情報は教科書には載っておらず、講師の経験からしか得られません。
確認方法は簡単です。スクールのWebサイトで講師紹介ページを見て、会社の事業内容に「ドローン運航」「業務受託」が含まれているかどうかを確認してください。
確認③:修了審査の合格率を公開しているか
合格率を公開しているスクールは、自校の教育品質に自信を持っている証拠です。逆に、合格率を公開していないスクールには、確認の問い合わせを入れる価値があります。
合格率が低い場合、再審査が必要になります。再審査代(2〜5万円)と追加の交通費・休日を考えると、合格率が高いスクールを選んだほうが総額で安くなるケースも少なくありません。
助成金を使えば自己負担は半額以下になる。具体的な計算例
ドローン国家資格の費用を大幅に圧縮する方法があります。人材開発支援助成金の活用です。
人材開発支援助成金(人材育成支援コース)とは
厚生労働省が運営する制度で、事業主が雇用する社員に対して職業訓練を実施した場合、訓練費用の一部が助成されます。ドローンの国家資格講習も、登録講習機関が「人材育成訓練」として認められていれば助成対象になります。
助成対象者
雇用保険被保険者(正社員・契約社員等)。事業主自身・会社役員は対象外。
助成の種類:「経費助成」と「賃金助成」の2本立て。
経費助成率
中小企業の場合、受講料の45%。賃金要件等を満たすと60%まで引き上げ可能。
賃金助成
訓練期間中の賃金について、1時間あたり760円(中小企業)を助成。
※出典:厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)」パンフレット。助成率は2023年4月時点の情報であり、年度ごとに改定される可能性があります。最新の助成率は管轄の都道府県労働局にご確認ください。
具体的な計算例:二等初学者コースの場合
あるスクールで二等初学者コースの受講料が294,800円(税込)、講習日数が4日間(実技10時間+学科10時間)だった場合のシミュレーションです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 受講料(税込) | 294,800円 |
| 経費助成(45%) | △ 132,660円 |
| 賃金助成(760円×8h×4日) | △ 24,320円 |
| 助成金合計 | 156,980円 |
| 受講料の自己負担 | 137,820円 |
※賃金助成は1日あたり8時間を上限として計算した概算。実際の助成額は訓練時間数・受講者の雇用形態等により変動します。
さらに学科試験(8,800円)、身体検査(5,200円)、交付手数料(3,000円)を加えても、総額約155,000円前後で二等の国家資格が取得可能になります。
助成金申請の5つのステップ
助成金は「もらえる」のではなく「申請して初めて支給される」ものです。手続きを知らずに受講してしまうと、申請資格を失います。
ステップ1:
事業内職業能力開発計画を作成する。自社で社員にどんなスキルを身につけさせたいかを文書化します。
ステップ2:
訓練開始の1ヶ月前までに、管轄の都道府県労働局へ訓練計画届を提出する。ここが最も重要なポイントです。訓練が始まってからでは申請できません。「受講後に申請すればいいや」は通用しません。
ステップ3:
計画通りに講習を受講する。
ステップ4:
訓練終了後2ヶ月以内に、支給申請書を労働局へ提出する。
ステップ5:
審査を経て助成金が入金される。申請から入金まで通常3〜6ヶ月程度。
一般教育訓練給付金との違い
個人で国家資格を取得する場合は、「一般教育訓練給付金」も選択肢に入ります。こちらは雇用保険に3年以上加入している個人が対象で、受講料の20%(上限10万円)が給付されます。ただし、対象となるスクールは厚生労働省の指定を受けている講座に限られます。
法人で社員を受講させる場合は「人材開発支援助成金」、個人で自費受講する場合は「一般教育訓練給付金」と覚えておけば、まず間違いありません。
一等と二等、どちらの費用対効果が高いか。業務別の判断基準
費用面だけを見ると、二等は一等の1/3〜1/2の価格で取得できます。では、あえて高額の一等を取る意味はどこにあるのか。
答えは「あなたがドローンで何をしたいか」で決まります。
二等で十分な業務:
外壁点検、屋根点検、太陽光パネル点検、空撮(無人エリア)、農薬散布、測量(無人エリア)。現時点で、ドローン業務の大半は第三者の上空を飛行しない無人地帯での運航です。これらはすべて二等資格+飛行許可申請で実施可能です。
一等が必要な業務:
有人地帯での目視外飛行(レベル4飛行)。具体的には、都市部での物流配送、市街地上空での広域点検などが該当します。ただし、レベル4飛行には一等資格に加えて機体認証(第一種)も必要であり、2026年2月時点で認証を取得した機体はまだ限られています。
判断の目安は「3年以内にレベル4飛行をする予定があるか」です。なければ、まず二等を取得して業務を始め、レベル4が現実的になった時点で一等にステップアップする。この段階的なルートが費用対効果では最も合理的です。
一等と二等の制度上の違い、必修時間の差、限定変更(目視外・夜間飛行)の要否については、別記事「[ドローン国家資格「一等」と「二等」の違いは?業務別にどちらを取るべきか解説](#)」で詳しく解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q1:ドローン国家資格の取得に、総額でいくらかかりますか?
受講料+試験料+交付手数料を合わせた総額は、二等初学者で約22万〜37万円、一等初学者で約62万〜102万円が相場です。ここに交通費・宿泊費が加わります。ただし、スクールのカリキュラム内容によって費用対効果は大きく変わるため、受講料の安さだけで比較するのは避けるべきです。
Q2:助成金を使えば費用はどれくらい安くなりますか?
法人の場合、人材開発支援助成金を活用すると受講料の45〜60%+賃金助成が支給され、自己負担は半額以下になるケースがあります。二等初学者コースの場合、受講料約30万円に対して助成金約15万円が支給され、自己負担は約14〜15万円になる計算です。ただし、訓練開始の1ヶ月前までに計画届を提出する必要があります。
Q3:国家資格の更新にもお金がかかりますか?
技能証明の有効期間は3年です。更新時には、登録更新講習機関での更新講習(学科のみ)を受講し、身体検査に合格する必要があります。更新講習の費用はスクールにより異なりますが、数万円程度が目安です。
まとめ:費用で後悔しないための3つの判断基準
ドローン国家資格の費用で後悔しないために、最も大切な判断基準は3つです。
1. 受講料ではなく「総額」で比較する。テキスト代、補講代、再審査代、交通費、そして資格取得後に追加で必要になるNTS・応急手当の訓練費用まで含めて計算する。
2. 助成金を使える条件を事前に確認する。法人であれば人材開発支援助成金で自己負担を半額以下に圧縮できる。ただし訓練開始の1ヶ月前までに計画届の提出が必要。
3. 「安さ」ではなく「修了審査の合格率」と「卒業後に現場で通用する力が身につくか」で選ぶ。一度の受講で修了審査に合格し、かつ現場で追加の訓練が不要な状態で卒業できるスクールが、結局は最も安い。
DOSA千葉校なら、受講料+NTS+応急手当をワンストップで
DOSA千葉校は、国家資格の講習カリキュラムにCRM(乗員資源管理)の要素と応急手当講習を組み込んだ登録講習機関です。資格取得後に別途NTSや応急手当の講習を受ける必要がなく、「総額で見たとき」の費用対効果に自信を持っています。
すべての実技講習は屋外フィールドで実施。講師は全員、点検・物流・災害対応などの業務運航経験者です。
さらに、人材開発支援助成金の対応コースを用意しており、申請手続きのご相談も承っています。
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