DOSA千葉校は、国家資格取得だけを目的とせず、安全な未来を築く人材の育成こそを使命としています。

ドローン運航のCRM講習を、世界標準に引き上げた。DOSAが2026年にCRM講習を改訂した理由。

「ブリーフィングはしているのに、現場で認識にずれが発生する。」
「ベテランほど、ヒヤリハットを報告したがらない。」
「自律飛行中に機体が逸脱し始めたとき、なぜか手が止まった。」

これらはドローン運航の現場で実際に起きていることです。原因は操縦技量ではありません。チームの伝達、判断の共有、報告できる空気、そして自動化への過信。こうした問題に対して、DOSAはCRM講習を設計してきました。

2026年1月、そのテキストをICAO(国際民間航空機関)とEASA(欧州航空安全機関)が定めるCRM訓練の必須要素と照合してみました。結果、2つの要素が抜けていることが判明しました。「オートメーション管理」と「Just Culture(公正文化)」です。このため、早速このたび追加しました。それが今回の改訂です。

なぜ国際標準と照合したのか。どこが抜けていたのか。何を追加したのか。順に説明します。

1. なぜICAO/EASAの基準を使ったのか

ICAOは国連の専門機関であり、世界190カ国位以上が加盟する国際民間航空の標準化組織です。EASAはEU域内の航空安全規制機関で、ICAOの基準をベースにより具体的な訓練要件を法規制として定めています。EASAがCRM訓練の必須要素として定めたものは、欧州の全航空会社に義務として課されている内容です。

ここで「日本国内のドローン運航はICAOやEASAの規制対象外では?」と聞かれると、まさしくおっしゃる通りです。現時点では、日本のドローン運航者がこれらの基準に従う法的義務はありません。

それでもこの基準を照合の軸に使った理由は一つです。ICAOとEASAのCRM基準は、70年以上の航空事故データと研究の蓄積から導き出されたものだからです。航空機事故の原因のうち約70〜80%がヒューマンエラーに起因するというデータは1970年代から蓄積されており、その対策としてCRMが生まれました。ドローン運航も、操縦者がいる限り同じヒューマンエラーのメカニズムが働きます。

法的義務はない。しかし徹底的に検証されたであろう安全訓練の基準として、これ以上のものはないと考えています。

2. ICAO/EASAが定めるCRM訓練の必須要素6つ

ICAOのDoc 9683(Human Factors Training Manual)とEASAのAMC1 ORO.FC.115から確認できる、CRM訓練がカバーすべき必須要素は以下の通りです。

要素① ヒューマンエラーのメカニズム

人間がどのような条件でエラーを起こしやすいのか。ICAOはHuman Performance(人間の能力と限界)を訓練の前提知識として明示しています。フェーズ理論、発生比率、認知バイアスがここに含まれます。

要素② CRM 5大スキルとTEM

コミュニケーション、状況認識、意思決定、ワークロード管理、チームビルディングの5大スキルはCRMの中核です。EASAはさらにTEM(Threat & Error Management)を、脅威とエラーをチームで管理する実践フレームワークとして位置づけています。

要素③ SHELLモデルによるエラー分析

エラーをソフトウェア(手順書・マニュアル)、ハードウェア(機体・設備)、環境、人間の相互作用として構造的に分析するツールです。ICAOのヒューマンファクター訓練における基本的な分析手法として位置づけられています。

要素④ オートメーション管理とスタートル効果

EASAは2014年のNPA 2014-17において、自動化への過信(automation complacency)と、予期しない異常に直面したとき人間の判断が一時的に著しく低下するスタートル効果を、現代のCRM訓練における優先的な追加要素として明記しました。

要素⑤ LOFTの考え方

ICAOのDoc 9683は「最も効果的なCRM訓練はLOFT(Line Oriented Flight Training)を通じた全員参加の実践」と明記しています。実際の運航を模した訓練の中でCRMを実践し、デブリーフィングで振り返るサイクルです。

要素⑥ Just Culture(公正文化)

ICAOのAnnex 19とEASAのSMSにおいて、Just Cultureは安全文化の中核概念として位置づけられています。EASAのCRM訓練実装ガイドラインは「CRMはJust Cultureと組み合わせて機能する」と明示しています。誠実なエラーの報告を保護し、報告された情報を改善に活かすサイクルがなければ、CRMは組織の中で機能しません。

3. DOSAのCRM基礎講習(2026年改訂版)の全体構成

以下が、2026年改訂版の最新カリキュラムです。

1章 はじめに
2章 ドローンによる事故事例
3章 事故発生要因の考え方(ハインリッヒの法則・スイスチーズモデル)
4章 人はミスをする生き物
5章 ヒューマンエラー発生のメカニズム(フェーズ理論・発生比率)
6章 ヒューマンエラー防止策① 自分を知る(認知バイアス・16Personalities)
7章 ヒューマンエラー防止策② 解決思考型へ(SFA)
8章 CRM:基本概念・権威勾配・5大スキル・LOFTの考え方
9章 TEM:脅威とエラーの管理
10章 SHELLモデルによるエラー分析
11章 オートメーション管理(スタートル効果含む)【2026年新規追加】
12章 Just Culture(公正文化)【2026年新規追加】
13章 チームビルディング演習
14章 終わりに・実践編への橋渡し

4. 必須要素6つとカリキュラムの対応

先に示した必須要素6つが、当社CRM講習(基礎編)のカリキュラムのどこに位置づけられているかを以下に示します。

要素① ヒューマンエラーのメカニズム

→ 2〜5章で対応。事故事例から始まり、ハインリッヒの法則、フェーズ理論、発生比率、認知バイアスまでを扱います。

要素② CRM 5大スキルとTEM

→ 8章(CRM・権威勾配・5大スキル)と9章(TEM)で対応。5大スキルとTEMを独立した章として扱っています。

要素③ SHELLモデルによるエラー分析

→ 10章で対応。SHELLの5要素(ソフトウェア・ハードウェア・環境・ライブウェア・ライブウェア間)を独立した章で扱い、演習シートを使った分析まで行います。

要素④ オートメーション管理とスタートル効果

→ 11章で対応。【2026年新規追加】照合した結果、この要素が抜けていました。自動化の4段階(手動操縦・GPS支援モード・自律飛行・RTH)ごとの落とし穴、手動介入の判断基準、スタートル効果への対処法(コールアウトによる思考の言語化)を扱います。

要素⑤ LOFTの考え方

→ 8章でLOFTの概念を学び、実践編でフェーズ別構成に沿った模擬運航として体験します。

要素⑥ Just Culture(公正文化)

→ 12章で対応。【2026年新規追加】照合した結果、この要素も抜けていました。James Reasonが示した3原則(報告が評価される環境・エラーと違反の区別・学んだことを仕組みに変える)に基づき、管理者だけでなく現場の操縦者・GAが「自分にできること」から始められる形で設計しました。

5. CRM講習を選ぶ前に確認してほしい6つの問い

受講を検討されている方へ。ICAO/EASAが70年分の事故データをもとに定めた必須要素6つを、CRM講習選定の基準としてぜひ使ってください。DOSAの講習も含めて、以下の6点で比べてみてください。

1. ヒューマンエラーの発生メカニズムを、フェーズ理論や発生比率を使って具体的に扱っているか
2. CRMの5大スキルだけでなく、TEMとSHELLモデルが独立した章として扱われているか
3. オートメーション管理(自動化への過信・スタートル効果)の内容が含まれているか
4. Just Culture(公正文化)の概念が含まれているか
5. ドローン産業界の現場を前提に設計されているか
6. 演習や実践要素が含まれており、知識で終わらない設計になっているか

受講のご案内

DOSA CRM基礎講習(2026年改訂版)
受講料:29,700円(税込)
時間:1日(10:00〜17:00)
形式:対面開催(出張講習対応可)
場所:株式会社ダイヤサービス(千葉県千葉市花見川区)

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