現場の「言ったつもり」「分かったつもり」を減らす、CRM基礎講習。
事故は、操縦者1人の判断だけで起きるとは限りません。
伝達漏れ、確認不足、思い込み、遠慮が重なったときに、現場の安全は崩れます。
本講習では、ドローン運航で起こりやすいヒューマンエラーを理解し、報告・相互確認・ブリーフィングの質を上げるための基本を1日で学びます。
2026年改訂版では、国際標準(ICAO/EASA)に基づきオートメーション管理とJust Cultureを新たに追加しました。
先に確認する
こんな状態なら、先にCRMです
追加の操縦訓練より先に、伝達・確認・共有の質を見直したほうがよい場面があります。
本講習は、「人はミスをする」を前提に、ドローン運航の現場で起きやすいヒューマンエラーの成り立ちを理解し、チームとして事故を防ぐための共通認識をつくることを目的とします。
学びの流れ(基礎編・2026年改訂版)
① 事故事例と事故の成り立ち
身近なドローン事故のケースから、ハインリッヒの法則・スイスチーズ・モデルでリスクの重なりを捉えます。
② 人はミスをする
人間の限界と、エラーが増えやすい状況・フェーズ理論・発生比率を理解します。
③ 防止策① 自分を知る
思考・感情・認知バイアスを踏まえた自己理解と自己診断のアプローチを扱います。16 Personalitiesは事前課題として実施します。
④ 防止策② 責任思考から解決思考へ
「誰が悪いか」ではなく「どうすれば良くなるか」。SFAを用いて現場改善につなげます。
⑤ CRMの基本と5大スキル
導入背景・目的・権威勾配、JAXA方式の5大スキルの要点と活用、LOFTの考え方を学びます。
⑥ TEM:脅威とエラーの管理
脅威・エラー・望ましくない航空機状態(UAS)の3要素と、Mitigation(緩和策)の実践を理解します。
⑦ SHELLモデルによるエラー分析
ズレを可視化するSHELLモデルの5要素を理解し、ヒューマンエラーを「個人の失敗」でなく「システムの問題」として分析します。
⑧ オートメーション管理
自動化の4段階(手動操縦〜自律飛行〜RTH)とautomation complacencyのリスクを理解。「いつ手動に介入するか」の判断基準と、スタートル効果への対処を学びます。
⑨ Just Culture:報告できる組織をつくる
ICAO/EASAが推進する公正文化の概念を理解。「報告しない」を生む5つの要因と、エラーと違反を区別する組織文化の3原則を学びます。
⑩ 演習・ゲーム(基礎編)
伝達ゲーム・NASAゲームを通じて、コミュニケーションと状況認識の質を体感します。
※⑧⑨はICAO/EASAの国際標準に基づき2026年改訂版で追加した章です。
他のCRM講習との違い(基礎編としての位置づけ)
| 観点 | DOSAのCRM講習(基礎編) | 一般的なCRM講習 |
|---|---|---|
| 目的 | 知識→気づき→行動変化の3段階 ヒューマンエラーのメカニズムを理解し、体験と議論を通じて気づきを得て、チームの行動変化へつなげます。 |
概念や理論の理解を目的とし、知識習得で終わることが多い。 |
| 内容構成 | 事故事例→原因分析→解決思考(SFA)→CRM/TEM/SHELL→オートメーション管理→Just Cultureと、現場で使う順で接続。ICAO/EASAの国際標準に準拠した10章構成。 | 航空CRMの理論やフレームワーク紹介が中心で、実務との接続が弱い。オートメーション管理・Just Cultureへの言及がないことが多い。 |
| スキル | JAXA方式の5大スキルを軸に、権威勾配・ブリーフィング・主張・状況認識・チームビルディングを行動レベルで理解します。 | スキルの名称紹介に留まり、現場行動への落とし込みが浅い。 |
| 自動化対応 | 2026年新規 GPS支援モード・自律飛行・RTHの落とし穴と手動介入の判断基準、スタートル効果まで扱います。 |
自動化に伴うリスク(automation complacency)への言及がほぼない。 |
| 組織文化 | 2026年新規 Just Culture(公正文化)の3原則を学び、ヒヤリハットを報告・活用できる組織文化の土台をつくります。 |
個人のスキル向上に留まり、報告文化・組織文化の形成まで扱わないことが多い。 |
| 演習 | 伝達ゲーム・NASAゲームで、状況認識(SA)とコミュニケーションの重要性を体感し、講師のフィードバックで理解を深めます。 | 講義中心で、体験型の演習や行動分析が少ない。 |
受講対象
受講後に得られること
タイムテーブル(標準例)
当日の進行やディスカッションの深さにより、各セッションは±10分程度前後します。企業研修・出張講習では、開始時刻・昼休憩などをご希望に合わせて調整いたします。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 10:00–10:15 | オリエンテーション/目的共有 |
| 10:15–10:50 | 事故事例と事故の成り立ち(ハインリッヒの法則/スイスチーズ・モデル) |
| 10:50–11:25 | 人はミスをする/ヒューマンエラーのメカニズム(フェーズ理論・発生比率) |
| 11:25–11:35 | 休憩 |
| 11:35–12:05 | 防止策① 自分を知る(認知バイアス/16Pタイプ別ディスカッション)事前課題あり |
| 12:05–13:05 | 昼休憩 |
| 13:05–13:30 | 防止策② 解決思考(SFA) |
| 13:30–14:25 | CRMの基本と目的・権威勾配・5大スキル(JAXA方式)・LOFTの考え方 |
| 14:25–14:35 | 休憩 |
| 14:35–15:05 | TEM:脅威とエラーの管理(Threat・Error・UAS・Mitigation) |
| 15:05–15:25 | SHELLモデルによるヒューマンエラー分析 |
| 15:25–15:55 | オートメーション管理(自動化の4段階・スタートル効果・手動介入の判断基準)2026年新規 |
| 15:55–16:10 | Just Culture:報告できる組織をつくる(公正文化の3原則)2026年新規 |
| 16:10–16:40 | 演習:伝達ゲーム(チームビルディング) |
| 16:40–17:00 | ふりかえり・質疑応答・修了手続き/認定証のご案内 |
※総学習時間は休憩を除き約6時間です。紫色でハイライトされた行は2026年改訂版での新規追加セッションです。
認定証(修了証)の発行
本講習を修了された方へ、DOSA「CRM講習(基礎編)」認定証(氏名入り)を発行します。社内の教育履歴や評価、チームの共通言語形成の証としてご活用ください。
※発行タイミングや表記内容は開催回により一部異なる場合があります。
講師より
ドローンの安全は、ルールや操縦技量だけでは維持できません。
基礎編では、ヒューマンファクターの本質を正しく理解し、チームで同じ言葉で「安全」を話せる状態にすることを目指します。2026年改訂では、自動化が進む現場で必要な「介入の判断力」と、報告できる組織文化の土台である「Just Culture」を新たに加えました。行動訓練は実践編の役割です。まずは、なぜ文化が必要かを共有しましょう。
現場では、「言いにくさ」や「伝わったつもり」が、気づかないうちにリスクになります。
基礎編では、コミュニケーションのつまずきやすいポイントを自分ごととして捉え直すことを大切にしています。今回の改訂で加えたJust Cultureの章では、「報告した人が責められない文化」をどうつくるかを一緒に考えます。まず自分から、報告しやすい空気をつくる一人になってもらえたらと思います。
開催概要
よくある質問(FAQ)
オンラインでの受講は可能ですか?
出張講習には対応していますか?
会社でまとめて受講する場合、割引はありますか?
事前課題(16 Personalities)を忘れた場合はどうなりますか?
ドローン関連事業ではありませんが、受講できますか?
国家資格講習の「スタンダード/プレミアム」に含まれるCRMと本講習の関係は?
2026年改訂で追加された「オートメーション管理」と「Just Culture」はどのような内容ですか?
Just Culture(公正文化)は、ICAO/EASAが推進する「誠実なエラーを報告した人が罰せられない組織文化」の概念です。なぜヒヤリハットが報告されないのかを分析し、報告→改善サイクルをチームで実践するための3原則を学びます。
申込み
まずは、現場で起きている伝達漏れ・確認不足・言いづらさを見直すところから。
本講習は、そのための基礎理解をそろえる1本目です。
2026年改訂版では、オートメーション管理とJust Cultureを加え、国際標準に準拠した内容に強化しました。