ドローン分野でも「CRM(Crew Resource Management)」を掲げる講習が増えています。
ヒューマンエラー、チームワーク、コミュニケーション・・・どれも大切なテーマですが、それを教える側が安全を仕組みで運用する経験を持っていなければ、どうして本質を伝えられるでしょうか。
CRMは「知識」ではなく「仕組みの中で生きる考え方」
CRMとは、チームや個人の行動・意識・コミュニケーションを最適化し、組織全体で安全運航を支えるための人の側のマネジメントです。そしてその「組織全体の安全運航」を成立させる枠組みこそが、SMS(Safety Management System)。ICAO Annex 19でも、CRMはSMSの一部として統合的に運用されるべきだと明記されています。
“CRM and other human performance programs should be integrated within the operator’s Safety Management System.”
― CRMなどの人的パフォーマンス・プログラムは、事業者のSMSの中に統合されるべきである ―
つまり、CRMとはもともとSMSの中で機能する概念。SMSを持たないままCRMを扱うと、行動の仕組み化や継続的な改善が語れず、「意識を高めましょう」で終わってしまうのです。
教える側がSMSを知らなければ、行動変容は起きない
多くのCRM講習では、コミュニケーションやチームワークの大切さを強調します。それ自体は間違っていません。しかし、「良いコミュニケーションをどう継続的に定着させるか」「エラー報告をどう組織で活用するか」といった部分は、SMSを理解していなければ具体的に語ることができません。
受講者がどれだけ真剣に学んでも、講師側が「行動を仕組みに変える」視点を持っていなければ、学びは現場に根づかないのです。
ダイヤサービス/DOSAが重視するのは、仕組みを理解した上で人を育てること
ダイヤサービス/DOSAのCRM講習は、SMSを知らない方にも受講いただけます。むしろ、「組織として安全をどう運用すべきかを理解している者が教えている」という点に特徴があります。
私たちは、実際のドローン運航を通じてSMSを運用し、その中でCRMがどう機能し、どう行動変容に結びつくのかを自ら検証してきました。だから、講習では「チームで安全をつくる」ことを単なるスローガンとしてではなく、実務に落とし込んだ形で伝えることができます。
知識を伝えることと、本質を語ることは違う
CRMを教えることは実はそれほど難しくありません。でも、CRMがなぜ必要なのか、どうすれば続くのかを語るには、SMSという現場の裏付けが不可欠です。
DOSAの講習は、学ぶ人にSMSの知識を求めるものではありません。教える側がSMSを理解し、その上でCRMの価値を実務に結びつけて語れる講習でありたい。それが私たちの考える、教育のあるべき姿です。CRMは、知識ではなく運用文化。それを本気で語れるのは、仕組みの中で実践している者だけです。
なお、一般的なCRM講習との違いはCRM講習(基礎編)の中に表でまとめてありますので、ぜひご覧ください。